【LIVE BOARD】継続的に蓄積される5億件/日のデータを、Amazon Redshiftで高速処理する分析基板を構築
OOH 領域において国内で初めてインプレッション(VAC ※1)に基づく配信を実現。コロナ禍のような人流変化が起こりやすい状況下でも、"そのとき、その場所で、その広告を"見ると仮定される人数をもとに、限りなく実態に即した広告配信および課金体系を展開。加えて、屋外・屋内、電車内、駅構内など日本全国の多様なデジタル OOH を束ねた独自ネットワークに国内最大級キャリアのビッグデータを掛け合わせることで、性・年代別によるターゲティングなど、従来の OOH では難しかった"ヒト"基点による配信を可能にしました。
- プログラマティックOOH(※2)におけるリーチ(※3)を正確に算出・最大化する方法がなかった
- 配信媒体ごとの仕様差が大きく、横断的な分析が困難だった
- リーチ最大化のための分析ロジックやデータ基盤が整っていなかった
- 大量データ処理に時間を要し、リアルタイム性に課題があった
- LIVE BOARD マーケットプレイス(※4)に接続している全媒体(屋外・駅構内・電車)を対象とした「リーチ最大化ロジック」の生成が可能に
- 5億件/日のデータ処理時間を6時間 → 2時間に短縮
- 純広告よりも高効率なリーチ獲得を実現
- 分析結果から、媒体種別の多様性と配信タイミングの柔軟性がリーチ効率を決定づけることが明らかに
プログラマティックOOHにおける「リーチ最大化」への挑戦
OOH(屋外広告)業界ではこれまで、広告に接触した人の属性データを取得することが難しく、広告の出稿は「人通りが多い」「交通量が多い」といった経験則に頼ることが多かった。
しかし近年、スマートフォンなどの位置情報やGPSデータを活用することで、広告を「誰が・どこで・どれくらい見たのか」を数値で把握できるようになり、データに基づくプランニングが大きく進展している。
こうした中で株式会社 LIVE BOARD(以下、LIVE BOARD)は、NTTドコモの位置情報データなどを活用し、広告を実際に見たと推定される「視認者数」を計測する仕組みをいち早く構築してきた。さらに、性別・年代に加えて趣味嗜好などの詳細な属性推定も可能としており、より精度の高いターゲティング配信を行っている。
LIVE BOARDが次に目指したのは、こうして蓄積されたデータを活用し、LIVE BOARD マーケットプレイスに接続している屋外・駅構内・電車内といった複数の広告媒体を横断して、より多くの人に広告を届ける「リーチ最大化」ロジックを確立することだった。

INSIGHT LABが担った、「共通データ構造化」と「大規模データ処理」
INSIGHT LABは、LIVE BOARDが進めるデータ活用の強化に向け、以下3点を中心に基盤を構築した。
- 媒体横断で使える「共通データ基盤」の構築
屋外、駅構内、電車内など、媒体ごとにデータの形式が異なり、そのままでは横断的な活用が困難だった。
データ構造を再設計することで、どの媒体であっても一貫した精度でリーチを算出できる「共通データ基盤」を構築。これにより、LIVE BOARDマーケットプレイスに接続されている様々な媒体のデータを横断的に活用することが可能になった。
- 5億件/日のデータを扱える高速処理環境の実現
基盤上には毎日膨大なデータが蓄積されるため、従来環境では処理時間がボトルネックとなっていた。
そこで、日次で安定して分析できる速度と拡張性を確保するため、 Amazon Redshift による列指向・並列処理を採用し、高速集計基盤を構築。さらに AWS Glue によりデータ整形〜取り込みを自動化し、大量データでも安定して処理できる環境を実現した。これにより、ビッグデータを現実的なスピードで分析できる、高速かつ安定した処理環境を実現した。
- 現場で使える運用基盤・分析UIの整備
基盤側は、Amazon API GatewayとAmazon ECSを組み合わせてデータ処理をパッケージ化。大量データ処理をUIから切り離し、安全に呼び出せる仕組みとして構築した。
UIであるQlik Senseの画面からは、外部APIを通じて必要な計算だけを実行。結果をそのまま可視化できるため、分析担当者が重い処理を直接扱う必要がない。これにより、操作ミスの防止と処理の安定性を両立し、大規模データでも誰もが日常的に扱える実用的な分析基盤を実現した。
データ活用で変わるOOH広告の常識 ― 新たなリーチ最大化の形へ
今回の取り組みにより、LIVE BOARDネットワーク内の媒体を横断したプランニングの精度が高まり、データを基点とした新しい判断が可能になりつつある。その基盤を支えているのがINSIGHT LABによる共通データ構造の整備と、高速かつ安定した処理環境の構築である。膨大なデータを扱った分析を実現可能にしただけでなく、実際に運用へ落とし込める仕組みを構築したことが本プロジェクトの大きな成果といえる。
LIVE BOARDはこの仕組みをもとに、目的やKPIに応じて最適な広告プランを提供できる体制の整備を進める予定である。INSIGHT LABは基盤構築後も以下のような伴走支援を継続しており、基盤が“使われ続ける”ための改善も担っている。
- リーチ最大化ロジックの検証や機能改修
- ビジネス要件に応じた分析結果の提供
- マスタ更新・データ監視などの運用サポート
街中で日常的に接するOOHというリアルな接点にデータの力が加わることで、広告はより精緻に、より柔軟に、そしてより多くの人に届く新たな段階へと向かっていく。この変化は、広告が「伝えるもの」から「つながる体験」へと歩み出す第一歩でもある。
※1 LIVE BOARD は、OOH グローバルメジャメントガイドラインにて推奨されている、視認調査に基づく視認率を加味したインプレッション(VAC=VisibilityAdjusted Contact / のべ広告視認者数)を採用しています。媒体の視認エリアの中にいる人数(OTS=Opportunity to See)のうち、OOH 広告に接触する可能性のあるのべ人数(OTC=Opportunity to Contact / 視認エリア内での移動方向や障害物の有無を考慮)を定義。この数に媒体に応じた視認率を加味することで、実際に広告を視るであろうのべ人数(VAC)を推計しています。
※2 Programmatic (Digital) Out Of Homeの略。交通広告、屋外広告、商業施設などに設置されたデジタルサイネージを活用した広告媒体のうち、時間帯や天気・気温等、エリアごと、オーディエンスデータごとに広告配信の自動化が行えるものの総称
※3 広告が届いたと推定されるユニークな人数(重複を取り除いた人数)
※4 SSP(Supply Side Platform)およびDSP(Demand Side Platform)などの機能を含む、LIVE BOARDが運営する広告プラットフォーム全体の総称
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