小売企業向けサービスのBIツールをフルスクラッチ開発、ランニングコストの削減と顧客満足度向上に寄与

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顧客の要望にあった仕様のBIツールをゼロから開発

A社は、消費者の購買動向を分析し、小売企業向けに調査データを提供するサービスを行うSaaS企業だ。全国数千万人規模の消費者データから、「誰が」「どのように」商品を購入したかを集約し分析。年齢や性別、地域別などで「いま市場で何が売れているのか」「どんな人が商品を購入しているのか」といったトレンド情報を提供することで、小売業界の各企業を支えている。

A社はデータ分析をする際、BIツール「QlikView」を活用していたが、ライセンス料金が高額であることをネックに感じていた。また、QlikViewの仕様に物足りなさを感じており、自社に合った使い方ができるBIツールがないか、模索していた。

「BIツールはデータを可視化できるツールなのですが、当時のQlikViewの機能では可視化したデータを更新する作業が十分にできませんでした。A社では分析結果に対してメモをつけたり、結果を共有するために編集をしたりする機能を搭載したいと考えており、インサイトラボに相談されました」

こう振り返るのは、この案件を担当したインサイトラボのエンジニアだ。

「この要望を受けて、A社の用途にあったBIツールをフルスクラッチでゼロから開発するプロジェクトを立ち上げました」

複雑なデータ構造に苦慮するも、長年のデータ分析の経験から開発をリード

本プロジェクトでは、QlikViewの既存の機能はそのままに、A社の要望を追加で組み込む形で新しいBIツールを開発することとなった。

追加機能は、大きく次のとおりだ。1つ目は、データ分析した結果にメモを付けられる機能。2つ目は、利用者が見たい分析結果を自由に反映できるダッシュボード機能。3つ目が、ユーザーマニュアルをPDFや動画でダウンロードできる機能だ。また、データ分析が完了した際にポップアップで通知をするなど、利便性を高める機能も追加することとなった。

実際の開発は、他社ベンダーと連携。データベースなどバックエンド側をGoogle Cloud Platformの取り扱いを得意とする他社ベンダーが、BIツールの機能やUIなどフロントエンド側をインサイトラボが担当した。

このプロジェクトを進行するうえで最大の障壁となったのが、保有するデータのボリュームと、複雑なデータ構造だ。

「A社が保有する購買データには、商品を購入した『人』のデータが紐づけされていました。商品データに加え、購買者のデータを絡めて分析しなければならないため、データベースの母集団生成は困難を極めることに。母集団のデータ抽出ロジックの複雑さには、バックエンド側を担当する他社ベンダーも苦慮していたようです」(担当エンジニア)

2014年から顧客のBIツール開発に携わってきたインサイトラボでは、顧客がどのような分析を行っているか、そこにどういう属性を付与すればよいか、長年の経験から熟知していた。そこで、他社ベンダー、A社の双方に対し、データを利活用するためどのようなシステム設計を行うべきかリードする役割を担い、この難局を乗り越えた。

アジャイル開発でランニングコストを抑えたフルスクラッチ開発を可能に

A社の要望に即したシステムを開発するため、開発方法にはアジャイル形式を採用。プロトタイプを作成し、都度、A社に実機を試用してもらう。UIのイメージや、フロントエンド・バックエンド間にデータの齟齬(そご)がないかを確認しながら進行することで、ランニングコストを抑えたフルスクラッチBIツールの開発に成功した。 

この追加機能は、A社ならびにエンドクライアント双方から高い評価を得ることができ、A社サービスの契約社数を60社から270社まで引き上げる一助となることができました。

「データのよりよい利活用を目指す企業様のデータ分析パートナーとして、弊社では今後も利用者様の目線に立った開発サポートを心がけてまいります」

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