INSIGHT LAB株式会社

【Jマテ.カッパープロダクツ株式会社】BIとAIの導入により、100トンの在庫削減を実現

Jマテ.カッパープロダクツ株式会社

新潟県上越市を拠点に、銅製品の製造・加工を手がけるJマテ.カッパープロダクツ株式会社。上水道配管部品や産業機械部品を製造、全国の給水機器メーカーや機械メーカーに納入している。2022年に発表した中期経営計画「Growing Up 2023」の中で、同社は「コア事業の機能強化」「経営基盤の強化」を掲げている。

製造
100~500名
TableauProphet
解決したい課題
  • 「カン」と「コツ」に頼らない営業活動を確立し、俗人化を脱したい
  • 銅建値の変動による在庫リスクを軽減したい
  • DX推進を通じて、データドリブンな文化を根付かせたい
データ活用の成果
  • BIツールTableauを導入し、在庫や販売実績を可視化
  • 社内の幅広い部署に対してTableauの研修を実施し、データドリブンな文化の定着に寄与
  • 過去5年分のデータをAIに学習させ、精度70%以上の予測システムを開発
  • 導入後も、予測精度は順調に向上している

効率的な生産と在庫管理の最適化を目指して

新潟県上越市を拠点に、銅製品の製造・加工を手がけるJマテ.カッパープロダクツ株式会社。業界内ではその技術力が高く評価されている一方で、市場の変動や季節ごとの需要変化による過剰在庫の発生による資金効率の低下が課題となっていた。加えて、半導体不足や原材料供給の不安定さによって生産計画が乱れることもあり、より正確な在庫予測とスムーズかつ無駄のない生産体制の構築が急務だった。効率的な生産と在庫管理の最適化を目指し、本プロジェクトはスタートした。

Tableauを活用したデータ分析と、AIによるアプローチ

正確な在庫予測を実現するため、まずは既存のデータを整理し、可視化するところからスタートした。開発や導入費用、ランニングコストをふまえ、可視化にはTableauを利用。これまで見えにくかった在庫や販売実績が明確になったことで、受注してから対応する「守りの営業」から一転、販売予測をもとに先手を打って提案を行う「攻めの営業」へ、発想を転換させることが可能になった。加えてTableau活用についての社内研修も実施。導入後も持続的にデータ活用ができる組織基盤の構築に向けた支援を行った。

Tableauによる分析ダッシュボード開発に続き、AIによる在庫予測システムの開発に着手。膨大なデータの中から、まずはモデルとして53の製品に絞り込み、予測精度の向上を目指す。受注進捗管理、生産状況管理ともに時系列データとしてとらえ、一般化加法モデルProphet(※)を用いた時系列予測を行い、システム実装を行った。(※ Meta社によって開発された時系列解析用ライブラリ)

・受注進捗管理

目的変数(分析によって説明される側の変数)のみを用いた時系列での予測からは、有意な結果が得られなかった。製品によって受注頻度の差が大きく、頻度が低い製品の時系列予測が難しいことが要因と考えられる。

・生産管理

入庫、出庫(外販)、出庫(移動)の3つの説明変数を用いて、説明変数なし、ありそれぞれで予測を実施。説明変数の値を累計値に加工することで値に持続的な影響を与えたところ、予測値への影響が持続的になり精度向上が確認できた。

こういった試行錯誤を何度も重ね、機械学習のパラメーターのチューニングを繰り返すことで、当初目標としていた70%を超える精度の在庫予測システムの構築に成功。2023年2月より、運用が開始された。 運用開始から2024年9月まで、上下はあるものの、予測の精度は着実に向上している。さらに約8,000種類もの全型番に対する予測精度も順調に向上しており、今後活用の幅を広げることでより大きな成果につながることが期待できる。(※ モデル客先の一時的な精度低下は、過去の傾向と受注に乖離があったことが要因と考えられる。)

目標としていた、100トンの在庫削減を実現

AIによる在庫予測システムを導入し、社内で継続的に分析や改善を行った結果、停滞・不動在庫が改善され、2023年9月からの1年間で約100トンもの在庫削減が実現した。さらに生産計画乖離率についても、2022年の平均+5.4%という数値から、2024年には平均+2.7%まで改善され、効率的な生産管理や資源の最適化が実現されている。

Jマテ.カッパープロダクツ株式会社からは「私たち自身でデータ利活用ができるよう、その応用まで含めた一連のフォローをいただき、ほかのITベンダーさんよりも手厚くサポートしていただけた」「結果が求められるAI需要予測の開発において、期限が定められた中で精度を上げられたのは、INSIGHT LABさんが培ってきた経験と実績のたまものだと思う」といった声をいただくことができた。製造業におけるDX推進のカギは、やはりデータにあると言えるだろう。

この事例でご紹介したサービスの詳細はこちら

当サービスに関するお問い合わせや資料請求は