INSIGHT LAB株式会社

【IBM Watson】外部市場調査業務をAI活用により自動化

非公開
解決したい課題
  • 外部動向調査の調査領域が広く、工数が膨大にのぼる
  • 調査ノウハウの属人化
データ活用の成果
  • 調査員の方が用いている推論方法や検索、抽出方法などの調査ロジックをベースに仕組みを構築
  • 社名や領域など、記事をカテゴリー別に分類して表示
  • 類似の記事同士のクラスターを作成する機能を追加し、類似記事をまとめて見える化
  • 記事内の文章を重要度の高さで絞って抽出し、自動で5文への要約を実施
  • 作業量を5分の1程度にまで削減
  • サマリの自動化や分類化を行うことでデータ分析も可能になり、データの有用性が向上

手動で行っていた業務軽減と属人化防止のため、AI活用で業務を自動化

グローバルで活躍する大手医療機器メーカーA社では、マーケティングや研究開発の一環として、ニュース記事による外部動向調査を行っている。この業務の具体的な内容はまず、北米や欧州など主に海外の医療機器や医療関係のニュース記事をピックアップする。次に、そこで得た情報を、経営層や研究開発、マーケティングなど必要な部署に届けるというものだ。

この作業は、5名の調査員が行っていた。1名あたりが週に100サイト以上の調査を行い、その中から各部署に必要な情報を数件にまとめて共有する。A社では、この調査業務に課題を感じていた。

まず、外部動向調査の調査領域が広く、工数が膨大にのぼること。調査員は調査業務にかかりきりになってしまい、それ以外の業務に手が回らない。また、調査ノウハウがそれぞれの調査員に属人化しており、代わりが効かないという懸念もあった。

「工数問題と調査スキルの属人化。2つの課題を危惧したA社から、 AIを活用して適切な情報を自動調査するWebシステムの開発ができないか、ご相談をいただきました」(INSIGHT LABエンジニア)

顧客に寄り添い、課題解決のためのシステム構築と運用開始後の追加要望に対応

この依頼に対し、INSIGHT LABではベースのシステムとしてIBM Cloudを選定、自然言語AIには当時流行していた「Watson」を採用した。従来、インターネット上を巡回し情報を集める仕事は調査員が手動で行っていたが、ここに「 Watson Discovery」を充てて自動化することとなった。

Watson Discoveryは、Watsonを使ってHTML、PDFなどの形式で作成された文書から適切なコンテンツを検索するシステムだ。インターネット上を巡回して情報を収集、整理するWebクローリングという作業を行う。

Watson Discoveryを活用して得られた情報を解析サーバーに通し、自動的に記事を抽出。それを、クラウド上のデータベース管理システム「PostgreSQL」に流し込み、Webシステムでレポートや記事を出力してA社に渡す仕組みを構築した。

「この仕組みは、実際に調査員の方が用いている推論方法や検索、抽出方法などの調査ロジックをベースに構築しました。AIが自動で該当の記事を回収する基礎システムを3か月で構築して、お客様にご使用いただきました。初期システムとして開発した記事の自動回収の仕組みは、A社でも概ねご満足いただけたようです」

運用開始後はA社とともにシステムのブラッシュアップに取り組み、追加で次のような開発を行った。

1つが、社名や領域など、記事をカテゴリー別でまとめること。これに対しては、カテゴリー別に記事を管理するために、テキスト中の社名など固有表現を抽出できる「固有表現抽出(NER)」というAIを、Watson Studio(NER解析)で実現。抽出結果の記事にタグ付けをすることが可能となり、分類で仕分けることに成功した。

もう1つ、該当企業の株価ニュースなど不要な記事が抽出されたり、類似の記事が複数検出されたりといった課題が明らかとなった。そこで、ネットワークグラフで類似の記事同士のクラスターを作成する機能を追加。類似記事をまとめて見える化したことですべての記事をチェックする必要がなくなったほか、関係のない記事の除外が容易となった。

また、回収した記事のサマリを見たいという要望も挙がった。この点は、「LexRank」というアルゴリズムを活用。記事内の文章を重要度の高さで絞って抽出し、自動で5文への要約を行うことができるようシステム構築を行った。

作業量を従来の約1/5まで削減、調査自体の精度も向上

初期システムにこれらの機能を追加したことで、それまで5名の調査員がフルタイムで行っていた作業の作業量を、5分の1程度まで抑えることに成功。 サマリの自動化や分類化を行うことでデータ分析も可能となったため、調査自体の精度や有用性も向上する結果となった。

「この結果を受けて、お客様には非常に喜んでいただけました。弊社では今後もAI技術を活用し、お客様のデータ活用 / 分析ノウハウをシステム化していきたいと考えています。あらゆる企業様のDX推進パートナーとして、並走していきたいですね」

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