- 商材単位でデータが散在している
- Webサイトごとに担当者がおり、データやノウハウは個別管理
- 販売データを活用したお客様とのコミュニケーション戦略が不十分
- クラウド型DWHとBIツールでデータ分析基盤を構築
- 顧客のセグメント分けを行い、データドリブンで一貫したコミュニケーションを実現
全社データの最大活用を目指し 課題に取り組むサイエンスセントラルを組織
データドリブンマーケティングの取り組みを加速している株式会社JTB Web販売部。膨大なデータのサイロ化とオンライン施策の遅れという課題に対し、2018年4月に「データサイエンスセントラル(以下DSC)」を組織。全社データの最大活用を目指した。
「DSCは『総合データ基盤』『顧客分析』『マーケティングアクション』の大きく3つの体制で成り立っています。これまでお客様の情報は商材単位でデータが散在しており、ひとつのデータベースとしてまとまっていないことに大きな課題がありました」と、顧客分析チームリーダー増原直美氏はいう。
Webサイトごとにそれぞれ担当者がおり、個別にデータやノウハウを管理していたため全体像を見ることができなかったこともDSCを組織した背景だ。
「販売データを活用したお客様とのコミュニケーション戦略についても、外資系オンライン旅行会社をはじめとした競合他社に出遅れているという危機意識がありました」と、顧客分析チームに所属する保川一歩氏が語るように、DSCを立ち上げる前は社内における「データ分析」への理解も十分とは言えなかった。
「分析といえば、データを抽出し、集計することを指していることが大半でした。そのため、セグメントが切れておらず、各施策に対してデータを十分に活かしきれていなかったと思います」と、増原氏も話す。
そこで、同社の顧客分析チームはこの課題に対して『質的分析』と『量的分析』の2つの側面からアプローチを行った。
Qlik View導入を決めた3つの条件
「DSCでは、まず基盤チームがサイロ化したデータの統合に取り組みました。そして、プライベートDMPを構築し、データを一元管理できるようになった段階で導入を決めたのがINSIGHT LABのQlikViewです。私たちがやりたかった、探索型の分析、実績とトラフィックの融合、お客様の高度な意味づけ、これら3つを実現できるBIツールだったことが導入の決め手です」
Qlik Viewを活用することで、売上から顧客体験の向上まで、一貫してデータドリブンで考えることができるようになったと増原氏はいう。
さらに「会話ベースの速度で、直感的に探索と分析を進めることができて、実際にJTBが向き合っているお客様の像をよりはっきりと意識できるようになったと感じます。また、探索型の分析に移行でき、顧客分析チームは『議論しながらデータを触る』スタイルに変わりました」と話す二人からは、大きな手応えを感じとれる。
しかし、実際のところデータ分析基盤を構築するのは容易ではなかった。理由は、その圧倒的なデータ量にある。
例えば顧客のランク化ひとつとっても、数年に1回しか利用されていない方に対しても「今月は利用していない」という実績データを作成しなければならない。それに加え、旅行商品特有のデータの複雑さも課題としてあった。予約から出発まで時間があり、変更・取り消しも多く発生する。それら一連の行動ひとつひとつを分析することに加え、リードタイムも考慮に入れた分析をする必要があった。
「こちらの視点や要望をお伝えすると、数日後に打ち合わせではそれを汲み取った形で具体的なサンプルやチャートができているのには驚きました」と話す程、スピード感をもって開発は進められた。
QlikViewはかなり自由度が高いツールだが、しっかりとした知識やノウハウがない状態で使いこなすのは難しい。何回も打ち合わせを重ね、コミュニケーションをとりながら、実運用者である顧客分析チームが常にQlikViewを触りたくなることを意識して構築にあたった。
「データの向こう側」からマーケティングアクションへ
今回、初回顔合わせから2ヶ月で初期分析に必要な50シートを作成し、実際に分析をスタートできた。背景として、事前にDSCで総合データ基盤が整理されており、データのサイロ化が解消されつつあったことが大きく寄与している。そうでなければこのスピード感は実現できなかっただろう。
「INSIGHT LABの親身なサポートと知見があってこその質とスピードだったと感じています。それから、私たちの考える『データの向こう側の人の心を見ること』に共感いただけたことがとても大きいです。さらに、BIソリューションに対しての知識だけではなく、クライアント企業のビジネスを理解した上で、構築設計と運用に落とし込んでいただけることに、非常に安心感がありました」
同社はQlikViewを導入したことで、今まで集計がメインだった分析が一歩も二歩も進化した。データを解釈して、お客様をセグメントに分けた知見は、DSC内のコミュニケーションのシナリオを策定するプランニングチームに手渡されている。シナリオに基づいた施策を実行、その結果をプライベートDMPに戻し、分析を繰り返すことにより、データドリブンで一貫したコミュニケーションを実現しようとしている。
「分析とはデータを『解釈』することであり、そのインサイトから『顧客構造を理解することである』というDSC立ち上げからのテーマが実現できつつあります。私はINSIGHT LABとの関わりの中で『データの向こう側』を考えることがさらに楽しくなりました。
今後も、ひとりひとりのお客さまに寄り添ったご提案ができるようになることで、より多くの方々にJTBを選んでいただけたらいいな、と考えています。データを活用したブランド体験の設計によって、お客様に『JTBで良かった』と思っていただけたら嬉しいですね」と最後に両氏は語る。
お客様をより深く理解し、輪郭と構造を明らかにしていく。そういった取り組みが、より効果的なマーケティングアクションにつながっていくだろう。
当サービスに関するお問い合わせや資料請求は