【プレスリリース】INSIGHT LABとJマテ.カッパープロダクツの需要予測AIシステム開発共同プロジェクトで、精度71.4%の予測システムを開発
Jマテ.カッパープロダクツ株式会社(本社:新潟県上越市、社長:山本 耕治、以下Jマテ.カッパープロダクツ)とINSIGHT LAB株式会社(本社:東京都新宿区、社長:遠山 功、以下INSIGHT LAB)は、2022年8月より開始した需要予測AIシステム開発共同プロジェクトが2023年2月末日に完了し、予測精度71.4%のシステムを開発いたしましたのでお知らせいたします。
概要
急激な円安の進行の影響も相まって、国内の非鉄金属価格は記録的な高値となっています。営業利益の減少要因を「売上原価の上昇」とする製造業が5割を超える中(※1)、ものづくりの現場において、在庫量を適正に保つための、精度の高い需要予測のシステムが求められています。
銅金属加工部品製造を行う、Jマテ.カッパープロダクツは、メイン商材である銅合金の銅建値(※2)の評価額変動という経営リスクを常に抱えており、2014年より在庫削減に寄与する需要予測などの取り組みを開始しましたが、必要なデータの煩雑さやデータ人材の不足、取り扱う型番の多さ(約1,500程度)などから予測精度が安定せず、更なる改善が急がれていました。
そこで、Jマテ.カッパープロダクツはデータソリューションカンパニーであるINSIGHT LABと共に、需要予測AIシステム構築にむけた共同プロジェクトを2022年8月に開始しました。2023年中に約100トン (約118百万円)の在庫削減を目指します。
※1 出典 ものづくり白書2022(経済産業省)より引用
※2 電気銅の基準販売価格を指す。銅相場とも呼ばれる。
需要予測AIシステム構築共同プロジェクトとは?
営業や製造に関するデータをAIに学習させ、70%以上の精度を持つ需要予測を立てるAIシステムの構築を目的とした共同プロジェクトです。過去約5年分のビッグデータの中から必要な情報を選定、整理しAIに学習させ、弾き出された予測値を用いて主要材質の在庫の上下限範囲(発注点)を再構築。更に行程管理にも予測値を応用することで、勘や経験に頼らない営業活動、生産活動を可能にします。
プロジェクト実施内容
受注進捗管理、生産状況管理ともに時系列データとしてとらえ、一般化加法モデルProphet(※3)を用いた時系列予測を行い、システム実装を行いました。
※3 Meta社によって開発された時系列解析用ライブラリ
- 受注進捗管理
目的変数(分析によって説明される側の変数)のみを用いた時系列での予測からは、有意な結果が得られませんでした。製品によって受注頻度の差が大きく、頻度が低い製品の時系列予測が難しいことが要因と考えられます。 - 生産管理
入庫、出庫(外販)、出庫(移動)の3つの説明変数を用いて、説明変数なし、ありそれぞれで予測を実施しました。説明変数の値を累計値に加工することで値に持続的な影響を与えたところ、予測値への影響が持続的になり精度向上が確認できました。
プロジェクト成果と課題
目標変数の変動が大きい53製品を用いて、AIによる需要予測システムの精度を評価しました。複数の説明変数を使用することで、システムの予測精度は過去データのみを使用した場合の67.2%から71.4%に向上し、当初の精度目標である70%を上回りました。今後は、全製品を対象に本システムを活用して生産計画時の在庫削減施策を講じ、2023年中に約100トンの在庫削減を目指します。
また、受注進捗を予測するためのモデル構築において、製品によって受注頻度が大きく異なり、特に受注頻度の低い製品の時系列予測が困難であるという課題が明らかになりました。「ゼロ過剰データ(※4)に対するモデルの調査」と「有効な説明変数の追加/調査を行った上でのモデル開発」を進めることでこの課題は解消され、有効なモデルを構築できると考えられます。
※4 目的変数に0を多く含んでいる状態
Jマテ.カッパープロダクツ株式会社 プロジェクトリーダー 西本俊介様のコメント
当社では、勘や経験に頼らない営業活動、生産活動の改善をはかるため、最新のデジタル技術を活用し本プロジェクトを行って来ました。データ数、集計方法など知見が無い中でのスタートで、実績のあるINSIGHT LABとの共同開発を通じ、当社のデータ構成や、受注形態、在庫状況などを短期間で理解して頂き開発は完了しました。精度向上についてもかなり難しい内容の中、精度70%の達成まで進める事が出来、無事に実運用まで進める事が出来ました。
県内の製造業においても需要予測や、データ利活用を検討している企業様もいらっしゃると思います。当社でも法人向け、月1回の発注など自社の特有の出荷形態が起因し難しい開発ではありましたが実用化まで進める事が出来ました。成果や取組、課題を通じ本プロジェクトの結果が、次のデータ利活用の取組の参考になればと思います。
■Jマテ.カッパープロダクツ株式会社について
銅合金の鋳造・加工事業などを行っています。Jマテ.カッパープロダクツでは現在、JPS(Jマテ生産方式)と名付けたプロジェクトにより、業務の標準化を進めています。また、Jマテ.グループにおけるDXの旗振り役となるべく、BI、RPAツール・AI-OCRや各種ITツールを用いたDXを推進し、創出した余力を「人でなければできない付加価値を持った仕事」に充て、活人化を実現していきます。またこうした取り組みにより、将来的にはステークホルダーにとっての利益の源泉となることを目指します。
■INSIGHT LAB株式会社について
「ビッグデータを活用し、より豊かな社会をつくる」ことをミッションに掲げ、お客様毎のデータ利活用フェーズに合わせた課題解決ができるデータ利活用プラットフォーム「TERASU(テラス)」を提供しています。「TERASU」は、MatoMeru(データ分析基盤)、KizuKi(データビジュアライゼーション)、+One(AI、RPAなど)、KakeDashi(DX推進)の4つの領域からなり、大手企業を中心に200社以上の導入実績があります。
新潟県妙高市とDX連携協定を締結するなど地域のDX推進にも貢献しており、最先端のデータ利活用ツールの導入・活用支援サービスや、研修サービスも提供しています。幅広い知見と技術力を用いて、お客様の挑戦に貢献していきます。
■会社概要
Jマテ.カッパープロダクツ
・社名:Jマテ.カッパープロダクツ株式会社
・設立:2005年4月1日
・本社所在地:新潟県上越市大潟区土底浜2024-1
・代表者名:代表取締役社長 山本 耕治
・URL:www.jcp.joemate.co.jp/
・事業内容:銅合金連続鋳造品・遠心鋳造品・押出品の製造加工販売、
銅合金地金の製造販売、上水道配管部品、産業機械部品
INSIGHT LAB
・社名:INSIGHT LAB株式会社
・設立:2005年12月22日
・本社所在地:東京都新宿区西新宿1丁目26番2号 新宿野村ビル48階
・代表者名:代表取締役社長 遠山 功
・URL:insight-lab.co.jp/
・事業内容:DXからデータ利活用、最先端技術までワンストップでサポートする
データソリューションプラットフォーム『TERASU』の運営
【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
Jマテ.カッパープロダクツ株式会社:jcpnrcontact@joemate.co.jp(広報担当)
INSIGHT LAB株式会社:pr@insight-lab.co.jp(広報担当)