データの掛け合わせが成功への「カギ」。アクアポニックスのプラットフォーム化に向けて課題に伴走

クライアント情報

業界

農業、水産業、IT事業

企業名

株式会社プラントフォーム

会社概要

新潟県長岡市に拠点を置くアグリITベンチャー、株式会社プラントフォーム。魚と植物を同じシステムで育てる新しい農業「アクアポニックス(水産養殖の「Aquaculture」と、水耕栽培の「Hydroponics」からなる造語)」の研究開発および運営と、アクアポニックスへの参入を検討している企業や自治体に向けた導入・運営支援事業を展開。世界的な食料安全保障問題の解決策の1つとしてアクアポニックスによる持続可能な農業の実現を目指す。

課題・成果

解決したい課題
  • アクアポニックスの養殖システムのセンサーデータを取得したい
  • 手動でせざるを得なかった養殖システムのデータ取得を自動化したい
INSIGHT LABとのデータ活用の成果
  • RPAで養殖用センサーからの自動データ取得を可能にし、手作業の負担を軽減
  • APIとPythonで環境を構築、自動取得したデータをAWSの時系列データベース であるAmazon Timestreamに蓄積。お客様社内でメンテナンスや分析指標の 検討が可能に

「アクアポニックス」運営のカギとなるデータ取得に課題

株式会社プラントフォームでは、魚と植物を同じシステムで育てる新しい農業「アクアポニックス」の研究開発および運営、また、アクアポニックスに関心を寄せる顧客に向けて、新規参入サポートを行っている。

アクアポニックスは、水産養殖で生じる魚の排泄物を養分として、水耕栽培で育てられる植物を生育するシステムだ。地球環境と同じ仕組みを人の手で再現し、食料生産モデルとして成立させている。食料安全保障における各種の問題を解決する手段の1つとして、世界で注目されている手法だ。

アクアポニックスを運営するには、「データ」がカギになる。プラントフォーム代表取締役CEOの山本氏は次のように語る。

「アクアポニックスで生産される作物の生育度合いや味は、その作物の品種と、養殖される魚種、魚が食べる餌によって異なります。掛け合わせは無限に近く、どの魚にどのような餌を与えるとよりよい生育具合、味になるか、現時点では世界の誰も最適解を見つけていません」

栽培、養殖に関するデータは、それぞれのシステムに取り付けられたセンサーを用いて取得する。センサーから得られたデータを統合し、最適な掛け合わせを見つけるのだ。ただし、現時点ではこれらの2つを統合するシステムはほとんど存在していない。両者を統合してプラットフォーム化するのが同社の目的だ。

しかし、課題は2つあった。1つは、両者のうち栽培用のセンサーデータは既に取得できる状態にあったが、養殖用のセンサーデータは取得できていなかった。もう1つは、データの取得プロセスだ。技術本部 IT戦略部の加野氏は次のように語る。

「養殖のデータは、魚を養殖する水槽に設けられたセンサーから取得します。ただし、このセンサーデータの取得は手動で行う必要がありました。そこで、養殖用のセンサーデータを取得するプロセスを自動化したいと考えたのです」

 

2週間でプロトタイプを作成。検証結果から要件を満たすと判断し、INSIGHT LABに正式依頼

同社ではこれらの課題を解決するため、データ分析のプロであると同時に、AWSにも精通した相談先を探していた。そんなとき、技術本部ライフサイエンス部の榎康明氏が、自身のITリテラシー向上を目的に参加した新潟大学主催のDX入門セミナーでINSIGHT LAB 代表取締役 遠山の講演を聞き、そのサービス内容に興味を持った。

講演終了後、榎氏はすぐにINSIGHT LABに相談を持ちかけた。プラントフォームから出された要件に対し、INSIGHT LABからはRPAを使った養殖データの自動取得を提案。ミーティング後、約2週間でプロトタイプを作り、本環境のデータ取得の可否と自動取得の可否について検証を実施し、システムの構築が可能であることが実証された。

「それに加え、データの自動取得だけでなく、AWSにデータを蓄積するところまでご対応いただけるということで、INSIGHT LABさんに正式に作業を依頼することになりました」(榎氏)

データの自動取得が可能に。養殖・栽培のデータ統合が進みプラットフォーム構想が現実に近づく

依頼を受け、INSIGHT LABでは養殖用センサーからのデータ取得と、データ取得の自動化に着手。データの自動取得にはRPAを活用し、センサーから出力されたデータの最新版を定期的に自動更新する仕組みを構築した。また、APIとPythonで環境を構築し、センサーから自動取得したデータは、AWSの時系列データベースであるAmazon Timestreamに蓄積するようにした。

これにより、1時間に1回、自動でのデータ取得が可能となり、手動による作業工数を大きく削減。プラントフォーム社内でもメンテナンスができるようになり、分析指標の検討も可能となった。

今回の取り組みによって養殖側と栽培側のデータ統合が進めば、「プラントフォームのビジネスはさらに発展していく」と加野氏は期待を込める。

「当社のアクアポニックスのシステムを導入いただいたお客様のデータも同じように取得して分析することで、プラントの運営についてデータをもとにフィードバックできるようになります。データを取得できるようになったことで、さまざまな可能性が広がりますね」

同社では今後もセンサーや新しい技術を導入し、データ取得をより充実させていくことで、アクアポニックスの可能性を押し広げようとしている。また、ECと連携した在庫管理や第三者データを組み込んだ生産予測などにも取り組む予定だ。

「このようにシステムが発展・拡大するうえでは、伴走してくださるパートナーの存在が重要になってきます。INSIGHT LABには今後もそういった役割を期待しています」(山本氏)

 

 

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